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4-D INFORMATION
マラケッシュ 2008.05.05

 この3月、フランスとイタリアの仕事の合間にまるまる1週間の空白が出来てしまったので、モロッコのマラケッシュに友人のユセーフを訪ねることにした。ユセーフとはいろいろなプロジェクトで北はロシアから南はアフリカまで一緒に珍道中をかさねたので、もはや親友だ。マルセイユからの直行便を降り、荷物の受け取り所に行くとすでにユセーフが待っていて死にそうなくらい強くハグされる。空港の連中と仲良しなので、一般人が入れないところまで迎えに来ていた。
 ユセーフも南アフリカのツアーから戻ったばかりで家族とゆっくりしたい時期だといい、奥さんや娘のナイーマといろいろな場所に行って遊んでばかり。ある日、車でアトラス山脈まで出かけた。高地はモロッコの先住民、ベルベル族が住んでいて、顔も家の建て方も違う。山間の川べりのレストラン(外国の観光客ではなく、モロッコの都会の人たちのリゾート地)で昼食のタジンを食べていると、流しのおじさんがルバーブ(一弦の胡弓のような楽器)を抱えて来た。ちょっと聴かせてもらうとすばらしくうまい。ユセーフも気に入って録音したり、名刺を渡したりしている。ベルベルの歌はマイナーのペンタトニックがほとんど。印象はかわいい曲が多く、暗い感じはしない。また、リフと歌のバランスが良くてリズムの決めに特徴があり、コール&レスポンスが楽しい。ユセーフと3人でさんざん遊んでしまい、奥さん(フランス人)に「だからミュージシャンは手が付けられない」とあきれられる。


アトラス山脈の谷間のレストランで、ベルベルの流しのおじさんと。

 マラケッシュは凄い勢いで建築ラッシュだ。以前は壁に囲まれた旧市街と隣接する新市街の2つに分かれていたのが、今は新市街から空港に向けてかつての農地に低層のアパートが次々に建てられている。田舎から都会に移ってくる人も多いし、信号のない道路に車、バイク(免許不要でティーンエイジャーからおばさんまで乗り放題)、ラバに牽かせる荷車があふれかえって危険きわまりない。旧市街の中は安い直行便でやってくるヨーロッパのバックパッカーだらけだ。カーステレオから溢れてくるのは若者向けのヒップホップで、モロッコの伝統的なサウンドのループの上でラップしまくりである。ところが、フナ広場からスークをたどり知り合いの邸宅の内庭に入ると、とたんに静かで涼しい。リアドの低いソファーで甘いミントティーをすすっていると、確かにここは天国だと思える。
 ユセーフは、普段は自分のバンドを引き連れて瀟洒なホテルのバーで演奏している。内容はなんでもありで、パーカッションのアンサンブルからアラブの伝統曲、この頃日本でも話題のグナワ、自分のオリジナルからユッスー・ン・ドゥールのカバーまで。私も1日つきあい、バイオリンやギターでセッションした。客席にバルセロナから来た自称「ちょい有名なギタリスト」がいたので、ジプシーキングス風のフュージョンで誘ってみたら逆に尻尾を巻いて退散していった。客層はモロッコとヨーロッパの金持ちたち。演奏中に乗ってきたお客さんは踊りだすし、ミュージシャンにチップをはずむ。しきりに「ジャッキーシェン」と話しかけられるのは、知ってるアジア人がジャッキー・チェンだけなのだ。中国も韓国も一緒になっている。


ユセーフのバンドのメンバーと、ホテル・アンダルシアのバーで

 ユセーフの自宅は3階建てで、2階部分はスタジオになっている。4曲ほどユセーフの曲にダビングした。演歌っぽいアラブ歌謡をデュエットし、アフリカっぽい曲にはギター、他にヴァイオリンなど。気心が知れているので話は速いし、途中で新しいプラグイン・ソフトの講習会になってしまうのはいつもどおりだ。ユセーフの甥もパーカッショニストで、ユセーフがスタジオワークを教えるためもあって、ダラブッカのダビングをする。ホテルで一緒に演奏していたときは、3人のパーカッショニストは全員上手に聞こえたのだが、ユセーフに言わせるとクリックを聞きながら録音できる人材は限られているのだという。甥っ子は有望で、音色はユセーフに劣るが、タイミングはすべてOKだった。  モロッコは、途方もない音楽の宝庫だ。サハラを越えて連れられてきた黒人たちの音楽、ベルベル人たちのさまざまな民謡、スペインから逃れてきた人たちのアンダルシア音楽などなど。それらは互いに混交し、新たなポピュラーミュージックに変身し続けている。何より、カルカベ(金属カスタネット)の強烈なグルーブに浸れば、その可能性が実感できる。
馬騎尚寺(BAKI-SHO-JI)が『DARK WARTERS』に参加!

日本のゴシック/インダストリアル・シーンを代表するバンドを集めた“日本初の本格的J-GOTHコンピレーション”として話題になった
『DARK WATERS -暗黒の水の底から-』。その第2弾コンピレーション『DARK WATERS 2 – DARKER WATERS』に、
小西健司のプロジェクト、馬騎尚寺(BAKI-SHO-JI)が参加!!
選りすぐりの精鋭や、新世代のゴシック/インダストリアル/デジタル・ハードコア・バンドがひしめく中に、馬騎尚寺は「Kyorai」という曲で参戦。
インダストリアルなハードコア・ボディ・ビートの攻撃に、誰もが興奮すること必至である。

※「Kyorai」に興味のあるかたは、こちらへどうぞ。
馬騎尚寺の他の音源も試聴できます。
http://www.myspace.com/bakishoji

V.A.『DARK WATERS 2 - DARKER WATERS』
品番:DWA-707
発売元:Deathwatch Asia
http://www.deathwatchasia.com/

Myspace
http://www.myspace.com/deathwatchasia
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